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会計とファイナンスを学ぶとはどういうことか

カテゴリ: プログラム 作成日:2018年01月05日(金)

 

昨年末より「企画担当・事業マネージャーのための会計・ファイナンス」セミナーを開催し好評です。週刊ダイヤモンドの年末特集号にも「決算書がすらすら読める『財務三表虎の巻』」という付録がついており会計ファイナンスの勉強熱は一般に高いようです。

 

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しかし、会計ファイナンスが誰にでも必要かと言えば当然そんなはずはなく、そもそも会計ファイナンスは誰が何のために学ぶべきかはよく理解されているとは言えません。そこで、新年の目標を考えていただくヒントに、会計ファイナンスとは何で、学ぶとどんな良いことがあるかを簡単に解説したいと思います。

 

会計とは何か、誰に必要か

会計とは一言で言えば「事業を数字で可視化する事業の言語」です。以下の図をご覧ください。

 

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会社は事業のためにさまざまな取引をします。顧客への製品サービスの販売や取引先からの仕入はもちろん取引ですが、皆さんの会社での勤務も雇用契約に基づく会社との取引の結果です。次に以下の図を見てみましょう。

 

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会社の取引の裏には多くの場合においてお金の動きがあります。皆さんも給料やボーナスとして雇用契約の対価を会社から受け取っています。これらの取引と表裏をなすお金の動きを一定のルールに基づき集計することが会計処理であり、集計された結果で最も重要な書類を「財務三表」(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)と呼びます。

 

ですので、会社や事業の実態を数字で理解したいと思ったら、この会計の言葉がある程度理解できる必要があります。勉強なしに外国語が理解できないように、会計も勉強しなければ理解できません。会計の専門家を目指すのでなくても、会社や事業を数字で理解したいのであれば会計の勉強が必要です。これがよく「会計はビジネスの必修科目」などと言われる理由です。

 

どこまで会社や事業を数字で理解したいか

ここまでの書き方だと「社会人は全員が会計を勉強する必要がある」となりそうですが、そんなことはありません。誰でも会社や事業の数字に多かれ少なかれ触れることがありますが、求められる理解のレベルは役割により大きく異なります。大まかには、(1)売上やコストの数字を追う、(2)利益の数字を追う、(3)事業のお金の流れを追う、の3つのレベルが数字の理解にはあり、どこまで追いたいかで会計を学ぶ必要があるか(ないか)が決まります。

 

結論だけ申し上げれば、日本企業の現場には(1)しか求められていない人が多くおり、その場合は会計の勉強は必ずしも必要ではありません。一方で、経営者や新規事業の担当者、あるいは開発の投資担当者は(3)まで理解が必要で、会計の勉強が必要です。

 

ただし、(3)ができると会社や事業の全体像を数字で追えるようになります。ですので、本当は教養として(3)を多くの社会人が理解していると、会社や社会で「おかしな」意思決定は減るでしょう。ただ、勉強は必要な時にするのが一番良いので、教養としてすべての社会人が会計を勉強した方が良いとは私は言いません。とはいえ、全体像がわかると高い視点で仕事に取り組めるようになるので、特に現場のマネージャーの方や事業のリーダーを将来目指す方が会計を学ぶと仕事の質が高くなるでしょう。

 

ファイナンスとは何か、誰に必要か

一方でファイナンスとは何でしょうか。私は「投資のリスクリターンを定量化する手法」がファイナンスであると説明しています。したがって「投資の意思決定に関わる人」はファイナンスを必ず使いこなせなければなりません。ファイナンスを知らずに投資判断をするのはゲームのルールを知らずにカジノでお金をかけるようなものです。

 

会社の投資と言えば設備投資が一般に最もピンと来やすいでしょう。その他に開発投資や企業買収(M&A)も投資に該当します。新規事業を開始する条件や既存事業を撤退する条件をどのように定めるかも投資判断です。これらは概ね経営者や経営企画が担当するエリアですが、事業部門の中堅以上であれば判断に携わることもあるかもしれません。

 

また、会社は資金調達をします。会社の設立時に株式を発行して受ける株主からの出資と、銀行借入が典型的な資金調達です。これは会社から見れば調達ですが、お金の出し手からみると投資(融資)になります。したがって株主や銀行はお金を出すリスクリターンを検討します。一方で会社はどのような条件であれば出資や融資を受け入れて良いか検討します。このように会社の立場では資金調達の検討時にもファイナンスの考え方が必要になります。これは経営者や財務担当者が担当するエリアです。

 

以上のように、会計とファイナンスはまったく異なる内容です。そして、ファイナンスは投資や資金調達の意思決定に携わる人でなければ仕事で直接使うことは非常に少ないです。このような人は会社であれば通常はかなり限られるでしょう。

 

一方で、ファイナンスは教養としては実は非常に面白いです。なぜかというと、ファイナンスは資本主義の礎を為す理論であり、ファイナンスがわかると世の中の動きがよくわかります。世の中がよくわかるという意味では会計にも同じことが言えますが、ファイナンスは答えがなく非常に人間臭いところが面白く、ファイナンスを考えるとは究極的にはお金と企業や社会の関係を考えることでもあります。個人的には、会計の本を余暇に積極的に読もうとは思いませんが(笑)、ファイナンスの本は余暇に読むことがありますし積極的に勉強も続けています。

 

ただし、ファイナンスは会計の知識がなければ理解できません。ですので、ファイナンスを理解したければある程度は会計を学ぶ必要があります。

 

この話にもう少し興味がある方は

私が開催するセミナーに是非ご参加ください(笑)。セミナーでは具体的な事例も用いて会計とファイナンスを学ぶとわかることと学びのステップについて説明します。

 

企画担当・事業マネージャーのための会計ファイナンスセミナー

 

学びには目的が重要ですので、「自分にはどこまで必要か」「自分はどこまでなぜ学びたいか」を整理していただきたいと思っています。

 

また、今回は「会計やファイナンスは仕事でどのように役立つか」という観点で書きましたが、私が教えるコースに個人投資家の方がときおり参加されます。ファンダメンタルを見る株式投資家にとっては、会計ファイナンスが役立つ(もしくはスキルとして必須である)ことは言うまでもありません。

 

藤波由剛

 

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2) コースの詳細はプログラム一覧パンフレットからご確認いただけます。

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