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運転資本と下請法

カテゴリ: 会計・ファイナンス 作成日:2016年11月04日(金)

Newspicksを通じてはじめて知ったのですが、下請法という、下請代金の不当な値引き要請や支払期日の延期などを防ぐための法律があるそうです。それが50年ぶりに改正および運用強化の方向で、支払手形の期間短縮や、現金払いの要請が行われるとのこと。

 

「下請法」50年ぶり見直しへ。支払手形の期間短縮、ルール厳格化

下請法の運用強化、親事業者に「現金支払い」要請

 

クラスでは、経営者としては運転資本を最小化もしくはマイナスとすることが、自社のキャッシュフローを改善させるために望ましいというお話しをします。そして、これは自社の経営を行う上では間違いなく正しいことです。おそらく、大企業の方よりも、中小企業の経営者の方の方が、資金繰りという意味でこの点にシビアな感覚をもっていらっしゃると思います。

 

しかし、考えてみれば、自社の運転資本を改善するということは、仕入先への支払いを遅らせたり、販売先からの代金受取りを早めたりすることです。したがって、相手のキャッシュポジションは必ず悪化することになります。つまり、運転資本の水準を変えるということは、ゼロサムゲームなわけです。ですので、運転資本のご説明をしながら、すべての会社が自社のために運転資本を真剣に改善しようとすると、どうも世の中がギスギスしてしまうなあと思っていたりします(笑)。

 

相手との取引において、どのような水準が支払条件の落ち着きどころなのかは、究極的には答えがありませんので、その業界の「常識」によるということになります。しかし、半年以上の掛けが当然の業界があるという話を聞くと、歴史的な経緯があるのでしょうが、なぜそこまで相手企業の与信に責任を持たなければならないのか、いささか理解に苦しみます。どのような事情があるのでしょうか。

 

記事によると、政府の方針は中小企業が大企業との取引で不利にならないようにすることに主眼があるようです。ゼロサムゲームで答えがない以上、掛けの条件は交渉ポジションで決まります。したがって、交渉力の弱い中小企業を守るためには、法律で一律に条件を定めるのが最良の手段です(もちろん、中小企業の側には、新たな販売先を開拓して既存の販売先への交渉ポジションを強めるという選択肢もありますが、現実には容易ではないでしょう)。いずれ、このような購買の交渉についてもプログラムで扱ってみたいと考えています。